*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
8. The reception party


 電車からホームに降り立った瞬間、湿気を帯びた重たい風に包まれる。 梅雨入りが高らかに宣言されたのは、2日ほど前だ。
 
 招待状によると、レセプションパーティの会場へは電車で十数分、それから徒歩五分のところにあるらしい。

 この駅は私達の住む市内で一番の中心地にあって、多くの企業や百貨店、飲食店などが多く集まる賑やかな場所だ。

 改札を通って駅を出ると、西に傾いた陽射しに思わず目をすがめてしまう。
 梅雨入りしたその日以外はまたお天気の日が続いて、本格的な夏を思わせた。

 湿度のある風が、露わになった首筋を撫でる。
 目的地へと向かって足を踏み出すと、膝下をスカートの裾がふわりと揺れた。
 
< 163 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop