*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
私が着ているワンピースドレスは、あの日母と父が二人で選んでくれたものだ。
全体が落ち着いたグレイッシュパープル一色のそのドレスは、私にしては大人っぽいデザインだ。
上半身は同色のレースで覆われていて、その中でも胸から上と背中の半分、そして袖の部分はレースの入ったオーガンジーだけ出来ている。その透け感は絶妙で、上衣やショールを羽織ったりする必要はない。
うっすらと肌が見えるのがちょっと恥ずかしいかなと思ったけれど、着てみるとそうでもなかった。
少し腰の高い位置にあるウエストマークの細いベルベットリボンの下からは、柔らかな質感の薄いシフォンが脛あたりまでストレートに落ちる。たっぷりと取ったタックのおかげで、足を動かす度にスカートの裾がふわふわと軽やかに揺れる。
全体的にふんわりとした優しい雰囲気のドレスを、スモーキーでシックな色合いが全体を大人な雰囲気に引き締めていた。
足元はメタリックなシルバーのポインテッドトゥの七センチヒール。手にはスタッズが付いたシルバーのクラッチバック。
肩下までの髪は、自分ではあまりしないアップスタイルだ。
母が着物の時にお世話になっている美容室を予約してくれていて、プロの手によってゆるく編まれた髪がナチュラルな感じにまとめられている。
アップスタイルで首元に何もなくなった代わりに、耳には色とりどりの石が繊細に連ねられたイヤリングが、時々シャラシャラと音を鳴らして揺れるのだ。