*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
華やかなスタンド花の隣に立つと、センサーが反応して自動ドアが開く。
エントランスへと足を一歩踏み入れた途端、目に飛び込んできた景色に圧倒された。そこは二階まで吹き抜けになった開放的な空間だった。
ちょっとしたイベントを開催できそうなほどの広々とした空間に、天井が映り込むほど黒光りする大理石。
奥の方にはゆったりとしたソファーが置かれたコーナーもあり、右端のエスカレーター横にはビル全体の総合案内カウンターも設置されている。
所々に置かれた観葉植物が、スタイリッシュな空間を程よく和らげている。
エントランスに招待客と思われる人が数組いて、ホスト側の案内係の人が声を掛けてパーティが開催される部屋を案内しているようだった。
「お客様。恐れ入りますが、招待状はお持ちでしょうか?」
エントランスの雰囲気に呑まれて完全にぼーっとなっていた私は、少し声を掛けられた瞬間、思わずビクリと肩が跳ね上がる。
「は、はいっ!持ってます。」
若干慌て気味にバックから招待状を掴み、差し出しながら顔を上げた瞬間、思わず息を飲んだ。
(あの時のっ!!)
私に声を掛けたのは、あの日図書館の公園で私に声を掛けてきた女性だった。