*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
「ごめんなさいね、杏ちゃんに嫌な思いをさせてしまって。」
「私なら大丈夫ですよ?それよりも、助けて下さってありがとうございます。」
「杏ちゃんはうちの村上と面識があったの?」
「面識…というほどではないのですが、一度図書館の近くでお会いしたことがあって…」
「そうだったの…それにしても随分な態度だったけれど、もしかして村上さんは杏ちゃんと修平くんが付き合っていることを知っているのかしら?」
「えっと……付き合っていると思っているかどうかは分かりませんが、修平さんと一緒のところを見られたことがあります。」
「なるほど。それであんな態度だったのね。」
遥香さんは苦いものを噛んだような顔でそう言った。
「杏ちゃんも気付いたかもしれないけど、彼女修平くんに好意を抱いてるようなのよ。あっ、もちろん修平くんは全然相手にしてないから気にしちゃ駄目よ。」
「は、はい。」
「もしかして彼女、前に会った時もあんなふうな失礼な態度をだったのかしら。」
「え…っと……」
素直に肯定するのは気が引けて、言いよどんでいると
「そのことは修平くんは知ってるの?」
畳み掛ける質問に答えることが出来ない私を、遥香さんは無言でじっと見つめていたが、それからすぐに「は~っ」と大きなため息をついた。
「いいわ、杏ちゃんは何も言わないで。このことは監督不行届で彼女の上司である瀧沢設計室長にきちんと報告しておきます。」