*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
デンマークのご婦人の問題が解決したので、今度は村上さんに顔を向ける。
村上さんは眉を怒らせ口をきつく結んでこちらを睨みつけていた。
今にも食って掛かってきそうな彼女の様子に一瞬慄きそうになるけれど、ご婦人を待たせるのも申し訳ないので、私は勢いに任せて口を開いた。
「この女性はパーティ会場に行きたかったようです。私もちょうどそこに向かってますので、ご一緒にお連れすることにしました。」
そう言うと、村上さんはわなわなと唇を震わせてから何か言おうと口を開いたが、その時ご婦人に「早く行きましょう」と腕を取られたので、村上さんに会釈だけしてエレベーターへと向かった。
何かを言いたそうに口を開けたままの村上さんに背を向けてしまったので、私はその後彼女がいったいどんな表情をしていたのかを見ることはなかった。