*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
司会者から紹介されたパーティの主催者が壇上に上るのが、私の所から見える。
立っている人々の背中越しにチラリと見えるくらいだから、きっとあちらから私のことはよく見えないだろう。
けれど主催者挨拶を座ったまま聞くのは失礼かと思って、私も立ち上がりソファーの横側でその話を聞くことにした。
主催者はこのビルを建てた会社の社長で、四十代くらいの男性だ。
スピーチの最後にその社長の「乾杯」の音頭と共に、会場の全員でグラスを持ち上げ乾杯をした。
会場は賑やかな雰囲気に包まれ、皆が周りの人と挨拶をしたり料理を味わったりして思い思いにパーティを楽しんでいる。
(遥香さんはもう戻って来てるのかな…)
知っている顔が見当たらなくて、少しだけ所在なさを感じる。
じっと座っているのも落ち着かなくなって、私はカヤさんに「お料理取ってきますね」と言ってその場を離れた。