＊続＊恩返しは溺甘同居で!?～長期休暇にご用心！

9. 冷徹王子の独占欲

　一瞬の出来事だった。




　


　思いがけない衝撃に、体が弾かれる。

　直前に他の人とぶつかりそうなのをよけたばかりで、態勢を整えていなかったから、二度目のイレギュラーに耐えることが出来ない。

　誰かにぶつかるのだけは回避しようと、なんとか足を着いて踏ん張ろうとしたのだけど、こんな時に限って日頃履き慣れない七センチヒール。
　
　体を支えることが出来きず、衝撃を受けた側と反対方向へ傾いていく。

　手に持っていた料理を乗せた皿がさっき避けたはずの男性にぶつかり、ガシャンと大きな音を立てて床に散らばった。



　すべてがスローモーション、だった。