*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!

 その男性よりも修平さんのほうが頭一つ分背が高く、近距離で見下されたせいか、男性がたじろぐのが分かった。

 修平さんは目の前の男性に向かい口を開く。

 「お客様、大変申し訳ありません。私の婚約者が大変失礼いたしました。」

 (婚約者!?)

 修平さんの口から出た思いもよらぬ単語に、自分の耳を疑う。
 けれど状況が状況なだけに、その真意を確かめることはできない。

 続けて修平さんはゆったりと落ち着いた声で話しかける。

 「汚れたスーツはこちらでクリーニングにお出しいたしまして、代わりのものをすぐにご用意いたします。」

 修平さんのその言葉を聞いてもなお、その男性は怒りを解こうという雰囲気ではない。

 「っっ、それは構わないが、俺はまだこの女に謝って貰っていない!あんたがどこのどいつだか知らないが、迷惑を掛けた張本人に謝ってもらわないことには俺の気が済まない。」

 男性の言葉が胸に刺さった。

 確かに迷惑を掛けたのは私で、その男性に非はないのだ。

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