*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!

 一通り部屋を見て回った後、私達は近くを散策に出た。

 温泉街をぶらぶらと散策しながら歩くと、すぐ海に出た。
 浜辺をアンジュと修平さんと歩く。

 梅雨入りしたことを忘れそうになるくらいの快晴に、つばの広い帽子を被って来て正解だったと思う。
 寄せては返す波打ち際を、アンジュが尻尾を大きく振りながら白波と戯れるのを、二人で笑いながら眺めた。

 ひとしきり波と遊んだアンジュが、私たちのところに戻ってくるなり目の前で毛をブルブルと震わせたから、
 勢いよく飛ばされた幾つもの雫に「うわぁっ!」って言いながら二人で慌てて飛び退いて、
 修平さんが「こらっ」ってアンジュを睨んだのに、叱られた本人(本犬)は「どうかした?」って顔でつぶらな瞳で首を捻って見上げてくるのが、可愛くて可笑しくて。

 とにかく大きな声で沢山笑った。

 「喉か湧いたね。近くにドックカフェがあるんだ。そこで何か飲もうか。」

 修平さんの提案に笑顔で頷く。大声で笑って喉がカラカラだ。

 

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