*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
今日二度目の嬉し涙はなかなか収まらず、修ちゃんの胸の中でぐずぐずと鼻を鳴らしている私。
ハンカチを手に持っていることに気が付いた時には、すっかり彼の服の胸元がびしょ濡れになっていた。
「ごめんね……ハンカチ持ってたのに…」
「気にしないで。泣かせたのは俺だし。」
嬉しそうな声でそう言った修ちゃんは、「そうだ」と呟いて何かを思い出したように立ち上がる。そして「ちょっと待ってて」と言って部屋から出て行った。
一分もしないうちに戻ってきた彼は、また私の前に座るとハンカチを握っている私の手を取った。
薬指に何かがすっと差し込まれる感触がする。
修ちゃんの手が離れた時、私の左手の薬指には綺麗な指輪がはまっていた。
「これ…」
「これはばあちゃんが昔じいちゃんに貰った婚約指輪なんだ。」
アンティークなデザインのその指輪は、金色のリングの中央にコーラルピンクの石、そしてそれを挟むように青みがかったピンクの小さな宝石が付いている。
「ばあちゃんの誕生石で出来てるんだって。真ん中の大きい方が珊瑚で、両側の光ってるのがモルガナイト。ばあちゃんが俺の婚約者にあげて欲しいって、死ぬ前に渡されたんだ。」
修ちゃんの説明を聞きながら、自分の指にはまっている指輪をじっと見つめる。
年月を経てきたそれは真新しいものとは違った素晴らしさがある。
修平さんのお祖母様の気持ちが詰まったこの指輪に、確かな重みを感じた。