*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
「私が貰ってもいいの?」
「杏奈に貰って欲しい。」
修ちゃんは真剣にそう言った後、その表情を柔らかく緩め、微笑みながら言った。
「この指輪、ばあちゃんから譲られた時には何とも思わなかったけど、今見たら、まるで杏奈の為の指輪みたいだ。」
「え?」
「珊瑚の色はコーラルピンクって言うけど、俺にはこれはアプリコットピンクに見えたんだ。」
「アプリコット…」
アプリコットは杏(あんず)のことだったな、と思い出す。
「両サイドの石は桜色だし、ばあちゃんと同じで杏奈も桜が大好きみたいだしね。」
「お祖母さまと同じ……」
「ほんと、ばあちゃんには敵わない。きっと今ごろ空の上から『私の思った通りね』って笑ってると思う。」
そう言って「ははっ」と笑った修ちゃんの笑顔が、少年みたいに輝いていて胸がいっぱいになる。
指輪のはまる左手を反対の手で包みながら、瞳を閉じて「ありがとうございます」と感謝の気持ちを口にした。