*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
実家に行った時に知ったのだけれど、修ちゃんは部屋の改装の時、助言を貰う為父や母と何度も電話でやり取りをしたらしい。
私の好みや趣味を念入りに聞き出して作った最たるものは、あの本棚だ。
あの部屋の中で一番のお気に入りの本棚。
火事でダメになってしまった私の愛読書たちを、なるべく元のように揃えたいと思った修ちゃんは、母にアレコレと聞いて、書店で注文できるものは注文して、古いものでうちにあるものを母が譲ってくれたりして、全部ではないけれど大分揃ったと言っていた。
それらの本を並べてもまだまだ棚には余裕がたっぷりあって、修ちゃんは「今度は一緒に本屋に行って、好みの本を探そう」と言ってくれた。
まだ何も置かれていない空間は、これからの先、私達が二人が一緒に選んで埋めていく『未来』そのものなんだ。
そう思ったら、本棚の前に立つ度に幸福感で胸がいっぱいになるのだ。
ちなみに、もとはお祖母さまの部屋だったものを、私に内緒で改装工事をするのが一番大変だった、と修ちゃんは後になって笑って教えてくれた。
昔から懇意にしている業者さんに私の出勤の日時に合わせて工事日程を組んで貰って、修平さんが仕事で日中不在の時は、佐倉さんに臨時で来て貰ったり、仕事を中抜けで様子を見に帰ったりと本当に忙しかったようだ。
私と付き合い始めて割と早い段階から準備を始め、少しずつ改装を進めていったらしい。
それを聞いた時、そんなに前から私の誕生日の準備をしていたのか、と驚くと同時に、そんなことに全然気付かなかった自分の鈍感さも驚愕だったのだ。