*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
私の実家で難なく(ヒロ君はちょっと涙目だったけど)結婚の許しを得た私たちは、その足でTAKI建設へと向かった。
連れて行かれたのは社長室。
まさかいきなり社長室へと連れて行かれるなんて思っても見なかったから、戸惑ってパニクる私を修ちゃんはスムーズにエスコートして、気付いたら部屋の真ん中に置かれた応接セットのソファーに座っていた。
修ちゃんの伯父さまとは、レセプションパーティでお会いしているから初対面ではないけれど、それでもこんな大企業の社長さんで、しかも彼のご身内に対面する私の心臓は、そりゃもう飛び出るんじゃないかってほど大きな音を立てて暴れていた。
けれどお互いの挨拶のあと、緊張する私に伯父さまがまず行ったのは『謝罪』だった。
『我が社の社員が杏奈さんにご迷惑をお掛けいたしまして大変申し訳ありませんでした。』
社長という肩書を持った壮年の男性にいきなり頭を下げられて、私は息を呑んだ。
『もう大丈夫ですから』と頭を上げて貰うようにお願いすると、伯父さまは顔を上げて『ありがとう』と微笑んだ。
その口元が修ちゃんのものとよく似ていて、私の緊張も少しだけ和らいだのだ。