*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!

 あの日私を故意に転ばせた村上さんは、やっぱり修ちゃんに恋心を抱いていて、嫉妬心から私に嫌がらせをした、と説明を受けた。

 彼女は今はやったことを反省していて、自主退職を願い出たらしいのだけれど、もう私に近付かないことを誓約に、別の地方の事務所へと異動することになった、ということだ。ちなみにその事務所は彼女の実家から通える場所にあるらしい。

 その話を聞いた私は、ホッと胸を撫で下ろした。

 明らかにホッとした私の様子を見た伯父さまに、『杏奈さんは優しいね。』と言われたが、決してそんなことじゃない。

 どっちが悪いとか相手が何をしたとか、それは置いておいても、自分とかかわった人がそのせいで仕事を失くすなんて、後味が悪すぎる。

 確かに村上さんがやったことは悪いことだけれど、恋をしたのは悪いことじゃない。
 好きな男性の周りにいる女性へ嫉妬することが罪だとしたら、私だってとうの昔に罪を犯していることになる。

 私と同じ男性(ひと)のことを好きになった村上さんを、私は嫌いになれないのだ。


< 246 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop