*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!

 「修ちゃん大好き。」

 言った途端、自分でも分かるくらいに耳まで真っ赤になる。
 こんなふうにストレートな愛の言葉を言うのは、まだまだ慣れそうにない。

 少しだけ動きと表情をフリーズさせていた修ちゃんは、ゆっくりと花が開くように大きな笑顔を浮かべた。

 細くなった瞳が朝陽を受けた露みたいに、きらきらと輝いている。

 ゆっくりと近づくその瞳に、吸い込まれてしまう前に瞼を閉じる。
 柔らかな感触が唇に降りる。
 とても温かな何かで、私のすべてが満たされていく。

 しっとりと重なった唇をゆっくりと離した彼は、もう一度ちゅっと私の唇に啄むようなキスを落とすと、こつんと額を合わせ口を開く。

 「一緒に指輪買いに行こうな。」
 
 その言葉に私が小さく頷くと、口の端が満足そうに上がる。

 「結婚指輪も選ぼう。」

 もう一度頷く私に、修ちゃんは心底満足げに微笑んだ。

 そして言った。

 「愛してるよ、杏奈。」

 「私も、」

 続きの言葉は彼の口の中に飲み込まれ、彼の唇は甘やかに私を溶かしていった。

 二人の足元にある杏の実だけが、ずっとそれを見ていた。









【了】
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