*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
3. 突きつけられた現実
五月五日、青空広がる五月晴れの今日。
連休一番のイベントを前に、開館前から図書館員の私たちは、総動員で忙しなく動き回っていた。
今日はこどもの日に因んだイベントが開館から目白押しで開催されることになっている。
午前中には、大学の朗読サークルの学生さん達による『絵本の読み聞かせ』、地域のシルバーボランティアの方々が教えてくださる『むかしあそび』、午後からは、県内出身のYA(ヤングアダルト)作家さんの『トーク&交流会』、そして、小学生を対象にした『図書館探検ツアー』が組まれている。
私は朗読と図書館探検ツアーの担当になっているので、今日は気が抜けない一日になりそうだ。
「杏ちゃん、読み聞かせに使った本は表の棚に陳列するんだったわよね?」
「はい、お願いします。」
「宮野さん、赤ちゃん用のプレイマットは片付ける?」
「いえ、次のむかしあそび用に、そのままにしておいてください。」
「了解。」
十時半から行われた『絵本の読み聞かせ』がたった今済んだところで、私はその会場の片付けに勤しんでいた。
私以外の三人の担当員は、読み聞かせに来てくれた大学サークルの学生さん達の撤収の手伝いに当たっている。
朗読サークルの学生さん達による読み聞かせは、概ね成功、という感じで終わることが出来た。
読み聞かせへの参加は、当日に受け付けをすればどなたでも参加できるもので、以前から図書館の掲示板や市報でお知らせはしておいたけれど、どれくらいの人数になるのか分からなくて準備の段階からドキドキしっぱなしだった。
結果として、お座りが出来るようになったくらいの0歳児から、小学校低学年くらいまでの子ども達とその親が沢山参加した。
会場になった大会議室が、少し手狭なくらいの人数だったので、大盛況といえたと思う。
幼児くらいの子ども達が多くて、途中数名の子達が室内を走り出すことがあったけれど、そういうことは良くあることなので、担当員がフォローして、読んでいるお話を中断することなく読み切ることが出来た。
サークルの大学生さん達にとっても、大勢の子ども達に読み聞かせをする時の難しさを体験出来て、きっと良い経験になったと思う。