*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
ランチが運ばれて来てからは、その見るからに美味しそうなメニューにテンションが上がってしまい、食べることに夢中になった。
そんな私を見て千紗子さんは「相変わらず食べるのが好きよね、杏ちゃんは」と言い、お弁当の具材の話になったり、雨宮家の家事当番の話を聞かせてもらったりしながら、四人で和気藹々と食事を勧めた。
最後に出てきたデザートの抹茶アイスの乗った白玉に目を輝かせると、修平さんが自分の分を半分ほど分けてくれて、それを見た千紗子さんに「仲が良いのね、ふふっ」と微笑まれて、知っている人たちに見られると段違いに恥ずかしいことを知る。
「じゃあ、私たちはお先に。」
十二時の十五分ほど前で、既に店内は込み合っていて、外で待っているお客さんもいるからと、先に食べ終わった千紗子さん達は席を立った。
「じゃあ、杏ちゃん、また明後日ね。」
軽く会釈をしながら店を出る二人を見送ってから、私は最後の白玉を急いで口に入れた。
「杏奈、慌てなくても大丈夫だよ?」
「んん、こへれおはひらから。」
白玉を頬張った私の口は思うように開かなくて、モゴモゴと何を言っているのか意味不明だ。
それでも、修平さんにはちゃんと伝わったみたいで、
「最後まで、ちゃんとよく噛んでね。」
と言って笑われた。