*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
「うわ~っ、素敵ですっ!!」
「ありがと。適当に座ってね。」
はしゃぐ私に、そう声を掛けた千紗子さんはキッチンに入っていく。
あれから、千紗子さんがブランジェリーのパンを買うのを少しだけ待ってから歩道を歩き出した私に、「杏ちゃん、そっちじゃないの。こっちよ」と、彼女が指差したのは、ブランジェリーの店舗の隣のエントランスだった。
そう、なんと千紗子さんが住んでいるのは、ブランジェリーが一階に入っているお洒落なマンションだったのだ。
びっくりして焦る私のことを微笑ましそうに見ながら、彼女は慣れた手つきでエントランスを開錠し、「こっちよ、杏ちゃん。」と私を呼んだ。
導かれるまま乗ったエレベーターを15階で降り、千紗子さんの後ろに着いてマンションの外廊下を大人しく進むと、彼女は廊下の突き当たりの部屋まで進んだ。