クールな御曹司の甘すぎる独占愛
なるほど。あまり仲が良くなかったから、名前を聞いただけで不快に感じたのかと奈々は妙に納得する。だが、誰とでも分け隔てなく接するように思える晶にも、そんな相手がいるとは意外だ。
子供みたいに素直に毛嫌いする様子がかわいく思えて、奈々が笑みをこぼす。
「……なんで笑う?」
「あ、ごめんなさい。なんか晶さんがかわいくて」
「かわいい?」
晶はさらに眉をひそめる。
「はい」
「かわいいなんて言われたのは初めてだよ」
奈々がふふっと笑うと、晶は不満というよりは照れ笑いだった。
「大学時代になにかにつけて俺につっかかってきては競いたがって。ゼミの教授の前でも、ことごとく俺の意見を覆して得意がっていたんだ」
「晶さんを羨ましかったんじゃないですか?」
現在の晶がコンサルタントとして敏腕を奮っていることを考えると、大学時代からおそらく優秀だっただろう。そのうえ容姿端麗。きっと女性からもとてもモテたに違いない。だからこそ晶を妬ましく思ったのではないか。