クールな御曹司の甘すぎる独占愛

◇◇◇

その週の土曜日の午前四時。奈々と清人は、光風堂の厨房で和菓子作りに勤しんでいた。

四種類を全部で二千個。それをなんとかお昼までに箱詰めまで完了させたい。
宮内に中に詰める商品はお任せだと言われていたので、清人と相談して、あじさいかんとひとくちみつ豆、みずまんじゅう、野菜と白みそあんの茶巾の四種に決めた。

あんを練っては、ひとつずつ丁寧に手で丸めて色づけした小さな寒天を貼り合わせていく。そうして五百個並んだあじさいかんは、奈々自身が見ても壮大な光景だ。清人の作る茶巾も順調。

なんとか全種類を作り終え、箱詰めをし始めると調理担当の道隆が出勤。彼の手も借りて、すべての工程が完了したのは、開店時間をほんの少し過ぎた頃だった。

全身の筋肉が凝り固まっている感覚だ。両手を高く上げて身体を大きく反らせると、背筋が伸びて気持ちがいい。


「清人さん、清隆さん、ありがとうございました」
「なんとかできましたね、奈々さん」


清人も安堵の表情。
あとは、これを鳳凰の間に届けて完了だ。
奈々は大きく息を吐き出し、ホッと胸を撫で下ろした。

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