クールな御曹司の甘すぎる独占愛

◇◇◇

商品は届けたものの、あれで大丈夫だったのか奈々がソワソワしていると、明美が偵察を買って出てくれた。
それによると、“小田高弘の支援者懇親会”は午後四時から無事に始まったらしい。宮内の姿も見かけたようだが、特に和菓子で揉めているような様子はなかったとのこと。ひとまずはなにごともなく、奈々初めての大きな仕事は成功したようだった。

そうして光風堂の閉店まで間もなくというとき。懇親会のためか、前回よりもドレッシーな装いの宮内が店に現れた。とはいえ、そこは秘書の立場。光沢感こそあるが、秘書らしくブラックスーツだ。


「いらっしゃいませ。本日はたくさんのご注文をいただきまして、ありがとうございました」
「ひょっとしたら時間に間に合わないんじゃないかと思っていたけど、意外にやるね、春川さん」


なんとなく小馬鹿にされた気がしなくもないが、奈々は笑顔で「ありがとうございます」と返す。やはりちょっと苦手なタイプだ。


「あの、なにか不手際でもございましたか?」
「支払いだよ、支払い。それとも小田高弘への寄付の一種と受け取ってもいいのかな?」
「いえっ、それは困ります!」

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