クールな御曹司の甘すぎる独占愛
不釣合いな恋だと悟った夜
身体を真綿で包まれたような感覚の中、少しずつ意識がクリアになっていくのを奈々は感じていた。
でも、もう少しだけこのまま……。
あまりの心地良さが奈々の目覚めを邪魔する。奈々はやわらかな感触に身を委ねていたが、ふと自分が今どこにいるのかを思い出した。
それまでまどろんでいたとは思えないほどパッチリと目を開けると、すぐ前には晶の顔のドアップ。彼が優しい眼差しで奈々を見つめていた。身体を包み込むやわらかな感触は、晶の腕だったみたいだ。
「おはよう、奈々」
「お、おはようございます。すみません、昨夜……」
昨日は店を出たあとふたりで食事を済ませ、奈々は晶のマンションへやってきた。シャワーを浴びてソファに座っているうちに急激な睡魔に襲われ、そこから奈々の記憶はない。
「疲れていたんだろう?」
疲れた感じはなかったが、昨日は大量の和菓子作りのために午前二時半起き。ベッドに入ったと思ったらすぐにアラームで起こされ、かなり寝不足だったのは確かだ。