クールな御曹司の甘すぎる独占愛

今からでも真弓に連絡を入れておいたほうがいいだろう。なんで今頃教えるの!と叱られる可能性は大だが、連絡しないであとで怒られるよりはいい。

奈々が厨房で真弓に電話をすると、案の定《どうしてもっと早く教えてくれなかったの!》と苦情を言われてしまった。真弓が会いたがっているジャック・スペクターがいるかはわからないと言い訳がましく奈々が言ってみたが、どうやらこれから美弥を連れてエステラに来る気満々らしい。すぐに支度すれば間に合うかもしれないと、真弓は奈々との電話を慌てて切った。


「ホテルが騒がしいみたいだけど、なにかあった?」


奈々がお代わりのコーヒーをテーブルに運ぶと、晶はノートパソコンから顔を上げた。


「ハリウッド映画のロケをロビーでやっているそうなんです」
「へぇ、ロケか」
「明美ちゃんは興奮して飛び出して行っちゃいました」


奈々が店の入口を指差しながら肩をすくめると、晶は「彼女らしいね」とハハッと笑った。


「晶さんは興味ありますか?」

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