クールな御曹司の甘すぎる独占愛
ショーケースを覗き込んだミヤビに奈々が「はい、そうです」と答える。大きく力強い瞳に吸い込まれそうだ。
「とってもキュートね。いくつか買っていきたいわ」
「ありがとうございます!」
「このブルーの和菓子、もしかしてあじさい?」
ミヤビは左端にいくつか残っていたあじさいかんを指した。長い指先には美しいネイルが施されている。頭の先からつま先まで、気を抜く部分がまったくない。
「はい。新作で大変ご好評をいただいております」
「それじゃ、それを全部と……、あ、いっそ、ここにあるものを全部いただこうかしら」
「……よろしいんですか?」
閉店間際とはいえ、まだ相当数が残っている。
奈々が念のために確認すると、ミヤビは「ええ、もちろんよ」と妖艶な笑みを浮かべた。
「ありがとうございます」
明美にも手伝ってもらい、ショーケースから出した和菓子を箱詰めにしていく。