クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「そうなのかもね」
「そうなのかもねって、おかしくないですか? 水瀬さんは奈々さんの恋人なのに。この書き方だと、まるでミヤビのほうが恋人みたいですよ?」
奈々はまだ晶とのことを明美に話していなかった。心の整理がつかず、未だに信じたくない気持ちでもあったから。
でもよく考えてみれば、奈々が晶のような人と付き合えたこと自体、おかしな話だったのかもしれない。奈々は束の間、夢を見ていただけで、ようやくそこから覚めたのが今の状態。スクープ写真を見て、そう思わざるを得なかった。
「そうなんじゃないかな」
「え? だって水瀬さんは――」
「別れたの。ごめんね。ずっと言えなくて」
明美の言葉を奈々が遮る。
奈々が無理に笑う様子を見て、明美は痛々しいものでも見るように顔を歪ませた。
「うそ、どうして……」
そこまで言い、明美は言葉を続けられなくなった。
「明美ちゃん、私は平気だから。明美ちゃんもそんな悲しそうな顔しないで」