クールな御曹司の甘すぎる独占愛

そもそも、宮内はあんこが苦手なはず。


「いや、いいよ。あんこは魔除けなんだろ?」
「ですが、こんなにたくさんはさすがに多すぎます」
「俺たち、付き合うことになったんじゃなかったっけ?」


宮内が口の端に笑みを浮かべる。

それをそばで聞いていた明美は「うそ!」と口を手で覆った。


「宮内さん、あれは違うじゃないですか」
「あれ? そうだった? でも水瀬とは別れたんだし、演技を真実にするのも手じゃない?」


とぼけながら面白がる宮内に、奈々は「しません」ときっぱりと告げる。
もうほかの誰とも恋はしない。できない。


「まぁいいや。ともかく注文をさせてくれ」


両手を広げて肩をすくめたあと、宮内が仕切り直したとき。店のドアが開き、思いも寄らない人が入ってきた。晶だったのだ。

――どうして彼がここに。

驚いて固まる奈々と明美をよそに、宮内だけは落ち着いていた。

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