クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「ずいぶんと時間がかかったみたいだな、水瀬」
「なんで宮内がここに?」
「俺にそんな言い方はないだろう? そもそも奈々は俺と付き合っているわけだし」
奈々がふたりのやり取りを呆然と見ていると、ふと晶と目が合った。どう反応したらいいのかわからずうつむく。
「奈々」
名前まで呼ばれて奈々の鼓動が大きく弾んだ。
「いろいろと悪かった。ごめん」
言っている意味がわからない。事態が飲み込めず、奈々は戸惑うばかり。
「明美ちゃん、行こう」
「え? でも……」
「いいから。俺たちは邪魔者」
宮内と明美がこそこそと店を出ていく。それを視線の隅でとらえながら、奈々は混乱の中にいた。晶がどうしてここにいるのかも、彼が謝る理由も理解ができない。
ショーケースを挟んで立つ晶がゆっくりと近づいてくる。奈々は身じろぎもできずにその場に突っ立った。