クールな御曹司の甘すぎる独占愛
晶の手が伸びてくる。まるでスローモーション動画を見ているような感覚だった。そして次の瞬間、思いがけないことに奈々は晶の腕に抱き込まれていた。
「奈々がひとりで苦しんでいるのにも気づかず、本当にごめん」
「あの……?」
「もうなにも心配する必要はない。ミヤビも大丈夫だから」
晶にそう言われても、奈々の頭の中は疑問符だらけ。スクープ写真を見たせいもあるのかもしれない。ミヤビのそばにいるべき晶が、どうしてここにいるのだろうか。それに、奈々は宮内と付き合っていることになっているのだ。
「あの夜、宮内から全部聞いたよ」
「えっ……」
奈々は晶の胸を押して身体を離すと、彼を驚きの表情で見上げた。
晶は、奈々が花いかだを飛び出したあとに宮内から本当のことを聞かされたと言う。仲が良いとは決して言えないふたりだから、宮内が晶の耳に真実を入れはしないだろうと奈々は思っていたが、それは誤算だったようだ。
「ミヤビのことでつらい思いをさせて悪かった。彼女もわかってくれたから、もう二度と奈々を傷つけることはない」