クールな御曹司の甘すぎる独占愛
晶の言っている言葉が耳をいったん素通りしていく。それはおそらく、そんなことがあるはずはないと奈々の脳がしめ出しているせいだろう。
「……それじゃ、晶さんも仕事がなくなったりしないんですか?」
こうして奈々の元に走り、ミヤビから交換条件でも付けられたのではないかと不安になる。
「大丈夫だよ」
「よかった……」
光風堂に対する責任もさることながら、晶の仕事も奈々にとっては大切なもの。それを失くさずに済み、奈々は心の底からホッとした。
晶にもう一度引き寄せられ、その腕に包み込まれる。この一週間の別れは、途方もなく長い時間に感じた。晶の温もりのなつかしさに、胸の奥から喜びが込み上げる。またこうして晶に抱きしめてもらえる日がくるとは、想像もしていなかった。
「ただ、ひとつ大事な話があるんだ」
晶はそっと引き離した奈々を優しく見下ろす。正体はわからないが、その瞳の奥に秘められたものに奈々は胸騒ぎを覚えた。なにを言われるのかと身構え、晶の腕を思わずギュッと握る。