クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「二週間後に日本を離れることになったんだ」
自分の耳を疑いたくなった。
晶さんが日本を離れる? また私のそばからいなくなる?
「それってやっぱり……」
ミヤビが関係しているのではないかと奈々はとっさに考えたが、晶は静かに首を横に振った。
「ミヤビとは無関係だ」
晶の突然の話に、奈々の思考回路は追いつかない。今そばにある温もりをまた手放す想像ができなかった。
「実はスイスに新しく支社をつくることになって、その立ち上げメンバーに抜擢されて。支社長の右腕として行ってくれないかと」
「支社長の、右腕……」
晶にしてみれば、それはとても名誉な話だろう。これまで積み上げてきた実績を会社が認めている証拠だ。
「短くて二年、長くて五年」