クールな御曹司の甘すぎる独占愛
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翌日の午後一時。宮内の運転で降り立った葉山の花いかだの駐車場は、予想どおり満車だった。少し前の鋭く刺すような日差しはだいぶ柔らかくなり、秋にさしかかった海から心地良い潮風が吹いてくる。
エメラルドグリーンの海に映える白亜の外観の花いかだは、その名のとおり海に浮かぶプルメリアの花びらのよう。美しい景観に三人ともしばらく見入った。
「ようこそおいでくださいました」
出迎えてくれた依子は相変わらず着物がよく似合う。ペパーミントグリーンの付け下げに小花が散らされたベージュの帯は洗練された印象だ。
「素敵なお店ですね」
都内の落ち着いた雰囲気の店と比べると店内が明るいのは、外観と同様の白い壁のせいだろう。解放感たっぷりの大きな窓からは自慢の景色が広がっている。座敷のイメージがあるせいか、一見すると懐石料理の店には見えない。それは都内の店も同様に。そのギャップがまた新鮮でもある。
「奈々さんからはオープンのときにお花をいただいて。その節は本当にありがとう」
「俺も送りましたけど?」
宮内は奈々の隣で不満げだ。