クールな御曹司の甘すぎる独占愛
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それからというもの、水瀬は閉店間際の光風堂へ幾度となく足を運んでは、残った商品を買い占めていった。ここ一ヶ月で両手の指がすべて折れるくらいだから、三日に一度の頻度になる。
そんなに頻繁に買っても財布に響かないのだと驚きつつ、申し訳ない思いもある。水瀬は《ここの和菓子が気に入っただけだから気にしないで》と言ってはくれるが。
会社で配った和菓子はなかなか好評らしく、たまに《水瀬さんからいただいたお菓子がおいしくて』と直接来店してくれる人もいる。
「水瀬さんって本当に素敵ですよねー」
明美はふとしたときに水瀬を思い出しては、うっとりと夢見るような目をする。そうなる気持ちもわからなくはない。
「でもきっと彼女はいますよね?」
……彼女。おそらくいるだろう。顔良し性格良しの水瀬を女性が放っておかないだろうから。いつも買っていってくれる和菓子も、そのうちのいくつかは彼女へプレゼントするものが含まれているのではないか。
「そうだね。いると思う」
「ですよねー。それもものすごい美女なんだろうな」