クールな御曹司の甘すぎる独占愛
奈々がクスッと笑うと、明美は「それは絶対ありません! 綺麗に決まっていますから!」と強く否定した。
「ところで水瀬さんのご両親って、どんな方でした?」
「おおらかでとても素敵な方たちよ」
「そうですよね。水瀬さんを見ていれば、なんとなく想像はつきます」
晶は幼少期から海外生活が長く、両親は今もカナダに暮らしている。日本へ帰ってきたのは、つい一昨日。今はエステラに宿泊中である。
まだ二回しか会ったことはないが、《実の親と思って甘えてちょうだいね》と両親を亡くした奈々を大切にしようとしてくれている。今夜はこれから晶も含めた四人で食事の予定だ。
そうして箱詰めがなんとか終了した頃、晶が店へやってきた。明日から十日間の休みをとるため、ギリギリまで仕事だった。
晶の顔を見ただけで、奈々の表情は明るく弾む。
「お疲れさまでした」
「奈々もお疲れさま」
晶が奈々を軽く抱きしめると、明美は「キャー! 見ていられない!」と顔を手で覆った。
「コーヒーでもいれますね」