クールな御曹司の甘すぎる独占愛
番外編~これで俺のもの


奈々と晶の結婚式が執り行われ、ふたりが新婚旅行に旅立って三日目。店を任されている明美は閉店直後、ショーケースにほんの数個だけ残った和菓子を取り出していた。

今日も無事に終わってよかった。

ホッとしながらトレーに移していく。

明美が光風堂で働くようになったのは、父親を亡くした奈々が店を引き継いでから半年が経った頃だった。そのため、数日にわたって店に奈々がいないのは明美にとって初めてのこと。

新婚旅行は諦めようかと悩んでいた奈々に、《私に任せてください! 奈々さんは心おきなく旅行に行ってくださって大丈夫です!》なんて啖呵を切ったものの、明美は正直言うと不安でいっぱいだ。


「あと四日、なにごともなく営業できますように……」


心の声が思わず声に出たときだった。
店のドアが開く気配がして、そちらに目をやる。

そういえば鍵を締め忘れていたっけ。お客様が入って来ちゃったかな?

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