クールな御曹司の甘すぎる独占愛

そう思ったのもつかの間。やって来たのは国会議員の政策秘書、宮内蓮也だった。


「まだ営業中?」


店内の明かりが落とされていることを見れば一目瞭然だというのに、宮内は白々しく笑みを浮かべる。


「これが営業しているように見えますか?」


だとしたら、相当なトンチンカンだ。だが、宮内の場合は違う。わざとそうやってとぼけて明美をからかっているだけ。
明美は軽く頬を膨らませた。


「相変わらず俺にはつれないね」


笑顔を浮かべながらも、宮内がシュンと肩をすくめる。

明美が宮内に突っかかるのはいつものこと。なにかにつけてからかわれるから、つい唇は尖るし、冷たい態度になってしまう。
露骨に態度に出しすぎかとは思うが、なぜか宮内を相手にすると無意識にそうなるから不思議だ。きっと、宮内の人柄がそうさせるのだろう。なんとなく上から目線で、ノリが軽いのが良くない。

< 308 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop