クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「今日はなにが残ってる?」


そう言いながら宮内がショーケースを覗き込むが、すでに和菓子は取り出された後。


「あれ? 完売? さすが看板娘の明美ちゃんだね。奈々さんがいなくても、しっかり店を切り盛りしてるってわけだ」
「そんなお世辞は結構です」


明美が毅然として返す。

本当にいつも調子のいいことばっかりなんだから。

宮内の言っていることは、半分以上が冗談だと明美は常々思っていた。


「お世辞じゃないよ。本当のこと。店だって、彼女がいるときとなんら変わらないじゃないか」
「それはまだ数日しか経っていないからです」


おだてても無駄。主人がいないまま一ヶ月でも経とうものならば、それこそ店はガタガタになるだろう。一度は傾きかけた光風堂を立て直した奈々の力は偉大だと、明美は尊敬の念でいっぱいなのだ。

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