クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「和菓子なら、ここに少しだけ残っていますよ」


話を逸らそうと、ショーケースの上に取り出したばかりのものをトレーごとのせる。


「それじゃ、それを全部もらっていこうかな」
「今日もですか? あんこは苦手じゃなかったですか?」


奈々が店を不在にしてから三日、宮内は連日この時間になると現れていた。そして、残った商品を全て買っていく。


「これから事務所に戻るから手土産だよ」


ここへ来ると、必ずと言っていいほど和菓子を買い占めていた水瀬を思い出す。それは奈々がいたからにほかならないだろうが。

宮内がいったいどういうつもりで水瀬のようなことをするのか、明美は不可解でならない。三日連続なんて、気でも触れてしまったか。それとも……。


「水瀬さんの真似ですか?」


思わずそう尋ねた。それ以外にはないだろう。

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