クールな御曹司の甘すぎる独占愛
◇◇◇
「さっきサービスで付けてくださった和菓子、とってもおいしかったわ。お土産に買っていきたいんだけどいただける?」
五十代と思しき優雅な雰囲気の女性にそう言ってもらえたのは、何組目かのお客を見送ったあとだった。この女性客には、確か野菜あんのあんこ玉を付けていた。
「はい、もちろんです」
笑顔で大きくうなずき、ショーケースを手で指す。早速あった反応に心が弾んだ。
「さきほどのものはこちらになりますが、おいくつにいたしましょうか?」
「そうね、六個にするわ」
「ありがとうございます」
明美に箱詰めをお願いし、奈々はすかさず和菓子が掲載されている光風堂の小さなパンフを広げる。
「四季折々の和菓子をご用意しておりますので、よろしかったらまたぜひお願いいたします」
次回につなげるアピールも忘れない。