クールな御曹司の甘すぎる独占愛

◇◇◇

翌日の木曜日は光風堂の定休日。奈々は高校時代からの友人、名取真弓(なとりまゆみ)の自宅へ遊びにきていた。

真弓は二年前に結婚し、半年前の昨年十月、第一子の女児・美弥(みや)を出産したばかり。郊外の一軒家の庭には、早くも幼児向けのブランコや自転車が置かれている。

庭がよく見渡せるリビングは春の日差しが燦々と降り注ぎ、窓辺で美弥を抱っこしているだけで汗ばんでくる。その美弥はさっきからご機嫌で、終始ニコニコとした笑顔を奈々に向けてくれていた。

本当にかわいい……。いくら見ていても飽きないから赤ちゃんは不思議だ。


「あ、ごめんね。ずっと抱っこしてもらっちゃって」


真弓が紅茶を入れてリビングに戻ると、美弥はすかさず彼女に向かって手を伸ばす。やっぱり母親には敵わない。


「ううん。ちょっと見ないうちに大きくなったね」
「前に会ったのはいつだったっけ?」
「二ヶ月くらい前かな」

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