子爵は新妻を独り占めしたい
第1幕*さよなら、世界
見下ろしたら、そこは海だった。
(冷たいだろうな…)
冷たい風が吹いている断崖絶壁に立ちながら、そんなことを心の中で呟いた。
見あげると、黒い空に銀色の月が輝いていた。
スカートのポケットからスマートフォンを取り出すと、メール画面を表示させた。
寒さで震えている指を動かしながら、画面をタップして文章を作成した。
『生きていることが嫌になりました
誰も私を必要としてくれないこの世界から出て行きます
さようなら』
それまで履いていた靴を脱ぐと、そのうえにスマートフォンを置いた。
前を見つめると、深呼吸をした。
「――さよなら、世界…」
そう呟いた後、冷たい海に向かって、その身を投げたのだった。
(冷たいだろうな…)
冷たい風が吹いている断崖絶壁に立ちながら、そんなことを心の中で呟いた。
見あげると、黒い空に銀色の月が輝いていた。
スカートのポケットからスマートフォンを取り出すと、メール画面を表示させた。
寒さで震えている指を動かしながら、画面をタップして文章を作成した。
『生きていることが嫌になりました
誰も私を必要としてくれないこの世界から出て行きます
さようなら』
それまで履いていた靴を脱ぐと、そのうえにスマートフォンを置いた。
前を見つめると、深呼吸をした。
「――さよなら、世界…」
そう呟いた後、冷たい海に向かって、その身を投げたのだった。