子爵は新妻を独り占めしたい
そのことに戸惑っていたら、
「あなた、どうしてこんなところで寝ていたの?

こんなところで寝てたら風邪をひくじゃない」

彼女が声をかけてきた。

「あの、私は…」

「一体、どこからきたの?

どうしてここで寝ていたのよ?」

「えっ?」

彼女の質問に紗綾は周りを見回した。

自分がいるところは原っぱのうえだった。

たくさんの木々に囲まれたそこに、何故か自分はいた。

(私、何でここにきているの?)

いつの間に自分はここへ移動したのだろうか?

「ねえ、聞いてるの?

あなたはどこからきて、どうしてここで寝ていたの?」

彼女に質問されていたことを思い出した。

「あの、私もどうしてここにいるのかわからないんです…」

紗綾は彼女の質問に呟くように答えた。
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