子爵は新妻を独り占めしたい
「えっ…?」

(日本を知らないってどう言うことなの?)

紗綾は口を開くと、
「太平洋に浮かんでいる島国です、私はそこからきたんです。

そうだ、言葉!

私が今話しているこの言葉は日本語です!」
と、必死で説明をした。

「何を言っているんだい?

君が話しているのは、立派なマハリタ語じゃないか」

ミゲルは何を言っているんだと言う顔をしながら言い返した。

「ま、“マハリタ語”ですか…?」

その事実に、紗綾は衝撃を受けることしかできなかった。

英語もロクに話せない自分が、いつ“マハリタ語”と言う訳のわからない言語を習得したと言うのだろうか?

それよりも、この様子からしてみると彼らは本当に日本を知らないみたいだった。

そう言えば…と、紗綾は自分の躰が濡れていないことに気づいた。
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