子爵は新妻を独り占めしたい
「あの、何か問題があるんですか?」

ミゲルの様子に紗綾は聞いた。

「彼女の家は子爵家なんだ」

ミゲルが紗綾の質問に答えた。

「子爵家、ですか?」

(いわゆる、“貴族”ってヤツだよね?)

自分の間違いじゃなかったらそうだったはずだ。

「ただで住まわせてもらうなんて思ってないです。

ちゃんと働きます」

そう言った紗綾に、
「そう言うことを言いたい訳じゃないんだ」

ミゲルは言い返した。

「エミリーには2歳下の弟がいるんだ。

名前は、エリック」

「弟さんですか?」

「彼、ちょっと無愛想なところがあってね…」

ミゲルが説明しようとした時、
「ついたわよー」

エミリーが声をかけてきた。

紗綾は目の前にあるエミリーの家を見あげた。
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