子爵は新妻を独り占めしたい
その声に視線を向けると、赤茶色の髪に緑の瞳の背の高い男が立っていた。

美しい顔立ちと気が強そうな雰囲気からして見ると、先ほどミゲルが言っていたエミリーの弟ことエリックのようだ。

「おかえり、エリック。

今日が帰りだったの?」

エミリーは彼に向かって声をかけた。

「帰りも何も、俺はそう伝えたはずだ」

エリックは不機嫌そうに言い返した。

ミゲルの言う通り、無愛想な人だと紗綾は思った。

そんなことを思っていたら、エリックと目があった。

「この女は誰だ?」

エリックは視線を紗綾に向けながら、エミリーに質問した。

「サーヤよ、“ニホン”って言う国からきたんですって」

エミリーがエリックの質問に答えた。

「は、初めまして、竹山紗綾です…」

紗綾は自己紹介をすると、ペコリと頭を下げた。
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