子爵は新妻を独り占めしたい
「サーヤ、彼は私の弟のエリック」

エミリーが自分の弟を紹介した。

「ほら、あいさつしなさい」

エミリーがエリックをうながすが、彼はプイッと紗綾から目をそらした。

「エリック…」

そんな彼の態度にミゲルは何かを言おうとしたが、
「ごめんね、サーヤ。

エリック、昔から人見知りなところがあって」

それをさえぎるように、エミリーが苦笑いをしながら言った。

「でも、悪い子じゃないから安心してね?

大丈夫だからね?」

なだめるように言ってきたエミリーに、
「は、はあ…」

紗綾は何を言えばいいのかわからなかった。

エミリーはエリックに視線を向けると、
「エリック、サーヤは行くところがないそうなの」
と、言った。
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