子爵は新妻を独り占めしたい
「はっ?」

エリックは訳がわからないと言った様子で返事をすると、エミリーの顔を見た。

「行くところがないって、何を言ってるんだ?」

そう聞いたエリックに、
「そのまんまの意味よ。

だから、しばらくは彼女をこの家に住まわせるから」
と、エミリーは言い返した。

「姉さん、何を言ってるんだ?

何で見ず知らずの女を住まわせなきゃいけないんだ?

警察に頼んで引き取ってもらえばいい話だろ?」

何クソと言わんばかりに言い返したエリックに、
「何にも悪いことをしていないのに?

と言うか、こんな大人しい子が何か悪いことをする訳ないじゃない」

エミリーはさらに言い返した。

「部屋はたくさんあるんだし、そのうちのひとつを貸して住まわせてあげたらいいじゃないのよ」

何か文句があるのかと言うように、エミリーはエリックをじっと見つめた。
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