子爵は新妻を独り占めしたい
「サーヤ様は大切なお客様です。

ですから、この部屋はサーヤ様のお好きなようにお使いください」

クレアは淡々と紗綾に言った。

「洗面所とシャワールームは右側のドアに、トイレは左側のドアにあります」

クレアが手で場所を示しながら説明をした。

「何か欲しいものや足りないものがあった場合は何なりとお申しつけてください。

すぐにご用意をいたします」

「はい、ありがとうございます」

紗綾はお礼を言った。

「それでは、今からお飲み物と軽食の方をお持ちいたします」

クレアはペコリと一礼をすると、部屋を後にした。

バタンと目の前のドアが閉まった瞬間、紗綾は息を吐いた。

それから部屋を見回すと、
「ここが今日から私の部屋になるんだ…」
と、紗綾は呟いた。
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