子爵は新妻を独り占めしたい
何だかとんでもないところにきてしまったうえに、とんでもないところに住むことになってしまった。

そう思いながら、紗綾は洗面所とシャワールームのドアを開けた。

「ここもすごいな…」

水色のタイルに猫足のバスタブ、大理石の洗面所…と、映画のセットかと紗綾はツッコミを入れたくなった。

シャワールームを後にすると、紗綾はソファーのうえに腰を下ろした。

「何だか悪いな…」

そう呟いたら、コンコンとドアがたたかれた。

「はい、ただ今…」

紗綾がソファーから立ちあがってドアへと歩み寄ろうとしたら、
「失礼いたします」

クレアがドアを開けて、部屋の中へと入ってきた。

「サンドイッチと紅茶をお持ちしました」

紗綾はクレアに歩み寄ろうとしたが、
「どうぞ、ソファーにおかけになってお待ちください」
と、言われてしまった。
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