子爵は新妻を独り占めしたい
紗綾がソファーに腰を下ろすと、クレアはお盆に載せていたサンドイッチと紅茶をテーブルのうえに置いた。

「あの…」

「はい、何でしょうか?」

「何かお手伝いできることはありませんか?

例えば食事の用意とか洗濯とか掃除とか」

紗綾がそう言ったら、
「いえ、サーヤ様は何もなさらなくて結構です。

そんなことをしたら、エミリー様とエリック様に叱られてしまいます」

クレアは言い返した。

「はあ…」

「サーヤ様はゆっくりとしてください」

「そ、そうですか…」

紗綾は返事をすると、テーブルのうえのサンドイッチに視線を向けた。

きゅうりとハムのサンドイッチとたまごのサンドイッチだった。

「いただきます」

紗綾は手をあわせると、サンドイッチを手に取った。
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