子爵は新妻を独り占めしたい
第３幕＊咄嗟の行動
その日の夜、食後にエミリーに呼ばれた紗綾は彼女の部屋にきていた。

「私のお下がりで悪いけど、もしよかったら着ていいから」

エミリーがクローゼットを開けると、服を何着か紗綾に渡した。

「ありがとうございます、助かります」

紗綾はお礼を言った。

「身長は私と同じくらいだからサイズ的には大丈夫だと思うけど、もし丈があわないようだったらクレアに頼んで採寸してもらってね」

「はい、わかりました」

「それじゃあ、ゆっくり休んでね」

「はい、おやすみなさい」

紗綾はエミリーの部屋を後にした。

「こんなにいっぱいもらっちゃったな…。

却って申し訳ないかも…」

両手に抱えきれないほどの服の量に、紗綾は苦笑いをした。

自分の部屋へと向かおうとしたら、
「あっ…」

エリックと鉢あわせた。
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